第 061 回
明日香村を流れる飛鳥川は、時期によってまったく違う表情を見せる。
春には桜の花びらが水面に落ち、夏には岸の草が青々と茂って川面まで覆い隠す。秋の雨の翌日には水かさが増し、流れの音が少し高くなる。冬には水が澄んで、川底の石が透けて見える。
同じ川を一年かけて歩けば、どの日も昨日とは別の川を歩いているようだ。
「最近は色々起きるね。以前は平和だったのに…。」
しかし、実はこの世は変化に溢れ、常に色々なことが起きている。
それが普通であり、自然の摂理である。
平和で穏やかな方が実は非日常であり、奇跡なのだ。
だからこそ、今日も何事もなく過ごせたのであれば 感謝して然るべきだろう。
何事もなく過ぎた一日を「ふつう」と呼ぶけれど、それはもしかしたら、いくつもの偶然と縁が重なった、ちいさな奇跡だったのかもしれない。