第 053 回
奈良公園から少し南へ入った高畑のあたりに、新薬師寺はひっそりと建っている。
本堂の中は薄暗い。扉をくぐると、正面に薬師如来坐像が在り、その周囲に十二神将が円を描いて立つ。
一体一体がまるで違う。険しい眼光の者、口を大きく開いた者、足元に小さな魔を踏む者。武器も、鎧の色も、足の向きさえも、すべて異なる。
でも誰一人として、他の神将の姿を見てはいない。ただそれぞれに、自分の方向を向いて立っている。
" 他人の人生を生きてはいけない "
これには2つの意味がある。
①他人の期待に応えようとしない。
→他人の期待に100%応えることはそもそも不可能。
②他人に期待しない。
→他人を自分の意のままにコントロールすることはそもそも不可能。
これを実践するだけで人生劇的に楽になる。
薄闇の中で、十二体はずっとそうして在り続けている。