第 048 回
奈良県宇陀市の南東、鳥見山(とりみやま)は、大和の空へ向かって静かに伸びている山である。
標高735メートルの山頂に立つと、大和盆地がひろびろと広がって見える。さきほどまで身を包んでいた木々の列が、いつのまにか遠い稜線に変わっている。
ふもとの道は、細い糸のように見える。あそこを歩いていた自分のことが、ずいぶん遠い場所にいるように感じる。
自身が今どんな苦しい状況にあったとしても、
何人たりとも『あなたの心に鎖をかける』ことはできない。
「○○だから、出来ない。」 「△△だから、苦しい。」
でも、ひょっとしたら、自分で自分の心に鎖をかけているのかも?
鳥かごから出よう。
扉はずっと開いているのだから。
扉に気がつくのに、ひと山越えることが必要だったのかもしれない。でも、今ここから見える景色は、ふもとではまだ見えていなかったものだ。