第 047 回
橿原市の今井町は、江戸時代の町並みがそのまま残る、国の重要伝統的建造物群保存地区である。
細い路地を歩くと、格子戸のある商家が静かに連なっている。石畳のたたき、土間の奥に積まれた古い器や道具——誰かの手から手へと渡りながら、丁寧に使われてきたものたちが、今もそこにある。
ここに流れる時間は、便利という言葉とはまったく別の速さをしている。
随分と便利な世の中になった。
その中で埋もれて行く、" 古き良き時代の道具 "。
だからこそ、時々思い出し、使ってみたい。
そうだ、あの人に手紙を書こう。
手紙にしかない、温かみ。
下手くそでもいい。心を込めて書いてみよう。
うまく書けなくていい。時間をかけていい。その時間も、手紙の一部になる。