第 032 回
唐招提寺の境内に、朝の静けさが満ちている。
苔むした石畳を踏みながら、鑑真和上の御廟へ続く小径を歩く。六度の渡航に挑み、嵐に翻弄され、視力さえ失いながら、それでも与え続けることを諦めなかった方。
手を差し伸べた先に、何かを受け取ることも望まず——ただ、誰かの力になりたいという純粋な心が、この静けさの中に今も息づいている。
あなたはわたし。
わたしはあなた。
あなたの存在が、わたしの心を癒してくれる。
わたしもあなたの何かの支えになれたら。
お互いに与える(GIVE)の精神があふれると、あなたの周囲は幸せに満ちて行く。
あなたが誰かのために差し出した小さな言葉が、見えない橋をかける。その橋は、いつかあなた自身のところへも戻ってくる。与えることは、失うことではなく、世界を広げることなのかもしれない。