第 114 回
奈良市街の一角、近鉄奈良駅からほど近い場所に、率川神社という小さな社がある。奈良市内で最も古い歴史を持つ神社とされ、その創建は推古天皇元年(593年)、大三輪君白堤が勅命を受けて祀ったと伝わる。平城京が営まれるよりもさらに前から、この地はすでに祈りの場所だった。
本殿は三棟並んで建てられている。中央に鎮まるのは、初代・神武天皇の皇后となった媛蹈韛五十鈴姫命。その左右には、父神・狭井大神、母神・玉櫛姫命が、まるで我が子を両側から見守るように寄り添って祀られている。この配置から、率川神社は古くより子供の守り神として親しまれてきた。
毎年6月17日には、疫病平癒を祈る三枝祭(通称ゆりまつり)が営まれる。飛鳥時代・文武天皇の頃から続くとされ、日本でも最も古い国家的な祭りの一つに数えられる。朝の境内はまだ人影も少なく、両親に見守られながら鎮まる小さな社に、今日という新しい一日が静かに始まっていく。
今日も無事起きることが出来た。
今日という日がどんな日かは、 我々自身が決める。
毎日、 今日も新しい誕生日 今日も人生最高の日 今日も大安吉日 今日も一粒万倍日 今日も天赦日。
そして、毎日が一期一会。
今日も楽しく生きよう。
誰に教えられるでもなく、この社は今日も同じ場所で、同じように夜を明かし、同じように朝を迎える。しかし、その一日一日は、決して同じ一日ではない。目覚めるたびに、我々もまた、寄り添う何かに見守られながら、新しく今日という日を、生き始めているのかもしれない。