第 109 回

明日香村の田園地帯の一角に、飛鳥宮跡と呼ばれる静かな遺構が広がっている。稲穂の揺れる畑の中に、かつて宮殿があったことを示す礎石と、発掘調査で見つかった溝の跡だけが残されている。

皇極天皇四年、この地に営まれていた飛鳥板蓋宮の一室で、時の権力者・蘇我入鹿が、中大兄皇子と中臣鎌足らの手によって討たれた。乙巳の変と呼ばれるこの出来事を境に、蘇我氏が代々築き上げてきた権勢は、潮が引くように失われていった。

今日、その舞台に立っても、権力争いの記憶を語るものは少ない。ただ礎石の上を、乾いた風が静かに吹き抜けていくだけである。

周囲と比較して 能力が高い人・仕事が出来る人ほど、 無意識に人を見下し、人を裁いてしまう という罠にハマり易い。

結果、今まで築いた信用や立場、 時には財産までも失ってしまう。

いつでも、人を気遣う想像力や 共感力を忘れずに行こう。

今、その礎石にそっと手を触れてみても、かつてどれほどの権勢がここにあったのかを、言葉で語りかけてくるものは何もない。ただ乾いた風が吹き抜け、遠くで稲穂がさらさらと音を立てるばかりである。

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