第 102 回
奈良公園に、夏の夜だけ現れる景色がある。
なら燈花会と呼ばれるこの行事は、8月の夜、一つ、また一つと灯されていく手作りのろうそくの灯りで知られている。訪れた人が自らの手でろうそくを置き、火を灯す「一客一燈」という参加の形もあり、当初は一晩一万本ほどだった灯りは、年を追うごとに増え続け、今では二万本近くにまで膨らんでいる。
一つ灯った小さな炎は、隣の灯りを求めるように寄り添い、さらにその隣へと連なっていく。気づけば浮見堂の水面にも、猿沢池のほとりにも、一つひとつの光が集まって、奈良公園全体が温かな光の海となっている。
この世には、『類は友を呼ぶ』という法則が間違いなく存在する。
だからもし、楽しく、嬉しく、有難い人生を送りたければ 今日あった、楽しく、嬉しく、有難いことを書き出してみればいい。
世の中の影の部分ではなく、『光』の部分に 意識をフォーカスする良い癖がつき、 それらを引き寄せられる。
今夜も誰かが、また一つ灯りを置く。その小さな炎は、隣の灯りを探すように静かに揺れながら、光の輪をそっと広げ続けている。