第 099 回

奈良県宇陀市、室生の山あいに佇む室生寺。春には、石段の両脇に石楠花(しゃくなげ)が群れ咲き、参道はほのかな薄紅色に染まる。

この寺は古くから「女人高野(にょにんこうや)」と呼ばれてきた。真言の総本山・高野山が長く女人禁制(にょにんきんせい)であった時代、女性たちは山を越えて教えを求める道を閉ざされていた。

高野山を目指せなかった人々は、遠く室生の山まで歩みを進めた。石段を踏みしめた無数の足音は、今も杉木立の奥に染み込んでいるかのようだ。

この世は、『学び舎(まなびや)』である。

それをどう使うかは自分次第。

「こう使うのが正解で、こう使うのは不正解」なんてものはない。

人の数だけ、使い方があっていいのだ。

石楠花もまた、同じ一本の木の上で、色も咲く向きもそれぞれに違う。誰かと比べられることもなく、ただそこに咲いている。

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