第 088 回
奈良市今辻子町、住宅街の一角にひっそりと佇む帯解寺。安産祈願の寺として、平安の昔から絶えることなく人々が手を合わせてきた。
夏の朝、本堂の格子戸を開けると、堂内にはこれまで奉納された無数の絵馬が並んでいる。まだ見ぬ我が子の無事を願う言葉、生まれてきた我が子への感謝の言葉——一枚一枚に、それぞれの家族の物語が刻まれている。
境内の百日紅が夏の日差しを受けて淡く色づく中、一人の参拝者がゆっくりと手を合わせている。その横顔は、これまで歩んできた道のりに静かに思いを馳せているようにも見える。
人生振り返れば、波乱万丈の人生だった?
しかし、苦悩や、喜びも全て含めて、今までの人生があったからこそ、今の自分がある。
そんな自分の人生に感謝。
さあ、今日も新たな人生の1ページ。
かけがいのない今日という日を楽しもう。
帯解寺を訪れる人々の願いは、千年経った今も変わらない。誰の人生も、山あり谷ありの道のりを経て、今日という一日にたどり着いている。