第 087 回
朝まだ人の少ない東大寺の大仏殿を訪れると、盧舎那仏の巨大な姿が静かに参拝者を見下ろしている。
天平の昔、幾度も疫病や飢饉が国を襲った時代に、この仏は鋳造されたと伝わる。当時の人々がどれほどの願いを込めてこの巨体を築き上げたのか、正確なところは誰にも分からない。
ただ、その由来を記した小さな案内板だけが、今も静かに大仏の傍らに立ち続けている。見上げる者の胸に、ふと問いが浮かぶ。この巨大な仏は、いったい何のために、ここに在るのだろうか、と。
永遠のテーマ『人は何故この世に生まれて来たのか?』
『他者貢献の為』。
それが私なりの答えである。
以後の人生は、『他者貢献』の最適解を探す旅になるだろう。
大仏の右手は、今も何かをそっと差し出すような形で止まったままである。