第 057 回
葛城山は、奈良と大阪の県境に立つ山だ。御所市の側から登ると、山頂は思いのほか平らで、遮るものが何もない。
標高九百五十九メートルの頂に立つと、奈良盆地がひと目で見渡せる。右手には大和三山の小さな稜線、遠く北には平城宮跡の広い大地。目を転じると、大阪平野のかすんだ地平線が青灰色に続いている。
夏空の雲が、ゆっくりと西へ流れていく。どこへ向かうのかを決める者は何もいない。ただ、高さと風だけを頼りに動いている。
我々は、それぞれの人生を乗りこなすパイロット。
どんな航路をたどるのか、
決めるのは、あなたの自由だ!
地図はない。
あなたが自由に描けばいい。
空はいつも、ここからどこかへ続いている。どこかで終わっているのかもしれないが、この高さからは見えない。