第 056 回

奈良盆地を見渡すと、三つの山がそれぞれの場所に立っているのがわかる。畝傍山、耳成山、天香具山——万葉の人々が「大和三山」と呼んだ山々だ。

高さも、形も、それぞれ違う。畝傍山は西南にゆったりとした裾野を引き、耳成山は整った円錐形で盆地の中ほどに静かに佇む。天香具山は三山のうち最も低く、なだらかな稜線が空へとやさしく溶け込んでいる。

万葉集には三山を詠んだ歌が数多く残っている。しかし歌人たちは、山の高さを競ったわけではない。それぞれの山の姿を、そのままに愛でた。

『自分を基準に、人を見てはいけない。』

人はどうしても、その本能から無意識に、
自分を基準にして、人を見てしまう。

時には見下し、時には劣等感を感じ、
時には卑屈になってしまう。

これでは人生つらいし、しんどい。

人は人、自分は自分。

人も、自分も尊重すれば良い。

大和三山は今日も、互いに比べることなく、それぞれの稜線を空へ差し出している。

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