第 044 回
奈良市内を静かに流れる佐保川。春の桜並木が終わり、岸辺は青葉に包まれている。
上流はどこまでも続き、下流もまた遠く消えていく。この水は、山で降った雨に始まり、大地を潤し、野を抜け、やがて海へと至る。どこで区切るかは人の都合であって、水はただひとつの流れとして在る。
ひとつひとつの出来事も、もしかしたらそういうものかもしれない——と、川面を見ながら、ふと思う。
「偶然そうなった。」 「運が悪かった。」
日頃、何気に言ってしまう。
しかしこの世は、原因があって、結果がある。
一見何の関係のないことも実はつながっている。
全ては偶然ではなく、『必然』ということになる。
川の流れに「偶然」はない。あの時、あの出来事が起きたのも——きっと、そういうことなのだと思う。