第 042 回
奈良の東、春日大社の背後にひっそりと続く春日山には、長く人の手が入らない原始林がある。春日大社の社叢として守られてきたこの森の木々は、いつしか太く、深く根を張り、静かに空を覆っている。
木々の根は、土の中で密かに絡み合っている。地上では一本一本が独立しているように見えても、その足元では見えない網が張られ、隣の木の根と、土中の水分や養分を静かに分かち合っている。
倒れた幹はやがて土に還り、周囲の木々の糧となる。芽生えた若木は、古木の影に守られながら育つ。この森の中では、何一つ孤立して存在しているものはない。
あなたがどう思うかに関わらず、
あなたは周囲とつながっている。
だから、あなたが「自分は何もしていない、 何も貢献出来ていない。」と
卑下するのは適切ではない。
あなたは存在しているだけできちんと貢献してくれている。
そう、ただ居てくれるだけでいい。
「見えないから、ない」ということにはならない。
春日山の根が地の下で静かにつながっているように、あなたの存在も、誰かの何かを、気づかれないまま支えている。