第 039 回
飛鳥の里に、甘樫丘という小さな丘がある。標高はおよそ百五十メートル。山というには低く、しかし盆地の中では存在感のある高みだ。
丘の頂に立つと、飛鳥盆地がゆるやかに広がる。大和三山のなだらかな輪郭、遠くに霞む吉野の稜線。足元で悩んでいたはずのことが、不思議なほど小さく見えてくる。
何かに行き詰った時、そっと顔を上げ、
一歩後ろに下がってみよう。
全体像を客観的に見ることが出来、
今までの悩みが小さく見えるだろう。
そうなったら、いつの間にか問題は消えている。
行き詰まりを感じた時、それは「見えている範囲が狭くなっているサイン」かもしれない。一歩引いて全体を眺めると、問題の輪郭が変わることがある。高い場所から見れば、道はひとつではなかった——ただ、近くにいすぎて見えなかっただけのことも多い。