第 116 回

東大寺大仏殿の東、木立に囲まれた石段を、参拝者たちは今日も黙々と登っていく。二月堂へと続くこの道は途中で振り返る余裕もないほど急で、目の前の一段だけを見つめて足を運ぶしかない。

今の堂が建てられたのは寛文九年(1669年)のこと。法華堂の北に続く階段をのぼった高台に、西を向いて静かに立っている。石段には唐草文や亀甲文といった様々な文様が刻まれているというが、上り続ける者の目に、それらはほとんど留まらない。

やがて息を切らしながら舞台にたどり着くと、誰もが同じように、ふと体の向きを変える。振り返ったその先には、大仏殿の大きな甍、奈良の街並み、そして遠く生駒の山並みまでもが、一望のもとに広がっている。

身の周りの環境が変わるなどして、 新しい挑戦や、業務を目の前に 焦りを感じてる人もいるかも知れない。

そんな時は少し立ち止まり、 180度体を回転させ、あなたがつくってきた、 あなただけの道を振り返ってみよう。

自分でも気づかなかった沢山の成果に気づくはず。

その自信を胸に、次に進もう!!

二月堂の舞台から見渡せるあの眺めは、誰かが用意してくれた景色ではない。ここまで一段一段、自分の足で登ってきた者だけが、振り返った瞬間に出会う景色である。石段の数を数えながら登る人はいないだろう。それでも、確かに積み重ねてきた歩みの分だけ、視界は静かに開けている。

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