第 083 回
大和郡山城跡には、戦国の世に築かれた城の面影を今に伝える、広い堀が残っている。早朝、まだ人影の少ない堀端に立つと、水面はどこまでも静かで、風のない日には石垣や空がそのまま映り込む。
かつてこの堀は城を守る要であったというが、今はただ水鳥が羽を休め、風が渡るたびに小さな波紋が広がるだけの、穏やかな水辺になっている。誰に指図されるでもなく、水はただそこに在り、光を返し続けている。
堀の向こうを見渡しても、決まった航路を示す杭も、行き先を照らす灯台もない。それでも水面はどこまでも広がり、これから漕ぎ出そうとする者を、静かに待っているように見える。
自分の人生は『航海』、
身体は『船』、
心は(その船の)『船長』。
又、
自分は世に問う『商品』、
自分株式会社の『社長』。
会社は自分の唯一の『得意先』。
海図も無い、商品の設計図も無い、
自分株式会社の事業計画も無い。
さあ、どうする?
どう創るか、それはあなた次第。
堀を離れる頃には、水面はまだ静かに光を揺らしていた。航路を敷いてくれる者を待つのではなく、ただそこに広がり続ける水。次にその上を渡る舟が、どんな帆を掲げ、どこを目指すのか——それを決めるのは、水でも堀でもない。