第 074 回
正暦寺は、奈良市の東南、菩提山の谷間に佇む古刹だ。清酒発祥の地として知られるこの寺は、訪れる人が少なく、境内では菩提仙川のせせらぎと木々の揺れる音だけが続いている。
夏の午後、参道の石段に足をかけた。木々が頭上を覆い、光はほとんど届かない。一段、また一段と踏んでいくうちに、どこまで来たのか見当がつかなくなった。前を向いていると、景色はいつも変わらないように思える。
「忙し過ぎて今日は何も出来なかった。」
「やろうと思っていたことに取り組めなかった。」
そんな日もあるだろう。
昨日と比べて進んでいない様に見える景色、
でも少し足元を見てみよう。
半歩であっても進んでいることに気づくだろう。
今日の進歩に乾杯!
静かな山の中で、時間はゆっくりと流れる。急がなくても、道は続いている。