第 059 回
秋篠寺の境内に入ると、足元の石畳がまず目に留まる。敷石の隙間から始まった小さな緑が、いつの間にか木の根元を這い、庭の隅々まで広がっている。
それが苔だとわかるのは、しゃがんで近くに目をやったときだ。一本一本は指先で数えられるほど細い。それが幾千・幾万と重なって、今日のような柔らかな緑の絨毯になっている。何年かかったのかは、誰も知らない。
何か新しいことに挑戦するということは、
例えれば、柔軟体操やストレッチを行って筋膜を伸ばし、
可動域を徐々に広げていくようなもんだ。
焦ってやると、筋が切れたり、筋肉を傷める。
大事なのは、 『忍耐と継続』。
苔は何かを急いだ様子がない。ただ今日も、昨日と同じように、静かにそこにある。