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第 018 回

奈良の夜明けは、まだ静かだ。

春日大社の参道に、石燈籠が並んでいる。朝靄の中に佇むその姿は、百年前も千年前も変わらない。誰かに見せるためではなく、ただそこに在り続けることを選んで。

奈良という街にいると、ふと感じることがある。ここには「見ているもの」がある、と。神も、仏も、千年の歳月も——静かな眼差しで、この街に生きる全てのものを、温かく見守り続けている。

昔、祖母に教えられた言葉。「天知る、地知る、己知る」。

「誰もいないと思って悪事をはたらくと、必ず誰かが見ているぞ」という戒めだ。

しかし、裏を返せば「あなたがたとえ孤独であっても、必ず誰かが見ていてくれる」とも言える。

祖母はどちらの意味で言ってくれたのだろう? 感謝。

春日大社の石燈籠は、今日も静かに見守っている。

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