第 014 回
朝、目が覚めた。
カーテンの隙間から、五月の柔らかな光が射し込んでくる。奈良の鳥たちが、どこかで朝の歌を歌っている。コーヒーを淹れた。湯気が静かに立ちのぼり、温かい香りが部屋に広がる。
何でもない、いつもの朝。
でも——本当に「いつも通り」なのだろうか。
昨日と同じように見えて、昨日とまったく同じ朝は、一度もない。目が覚めることも、光を感じることも、香りを嗅ぐことも——すべて、じつは奇跡の積み重ねだ。
この世に「当たり前」はない。
唯一あるとしたら、この世に「当たり前」はないという事実が "当たり前"。
今この瞬間に生きているのも、"当たり前" ではない。
感謝。
今日も目が覚めた。それだけで、もう十分だ。