第 009 回
五月の奈良は、どこを歩いても緑に包まれている。
参道の石畳に木漏れ日が揺れ、鹿たちが草を食む音だけが聞こえる静かな朝。すれ違った旅人に自然と「ありがとう」と声をかけると、相手の顔がふわりとほどけた。
たったそれだけで、その日一日が、何かしら明るくなった気がした。
人は一日にどれほどの言葉を使うだろう。愚痴、不満、言い訳——あるいは、感謝。積み重なる言葉が、やがて「自分」という人間をかたちづくっていく。
あなたの人生は、あなたが使う『言葉』で出来ている。
自分の不運を嘆いたり、愚痴や文句を言う代わりに、
日頃の何気ない瞬間に、「ありがとう」と言ってみよう。
自分の中で何かが変わるのを実感するだろう。
やがて、「ありがとう」があふれだす。
そうなれば、人生も変わっていく。
「ありがとう」という言葉が、あなたの一日に、そして人生に、静かに満ちていくように。