第 006 回
夜が明ける前から、目が覚めていた。
奈良の静かな早朝——まだ鳥の声しか聞こえない時間に、ふと考えた。
「どうすれば、人に優しくなれるのだろう」
思い返してみると、私の人生で最も優しくしてくれた人たちは、皆、苦労を知っている人たちだった。華やかな人生を歩んできた人ではなく、傷を持ち、悩み、それでも前を向いてきた人たちだった。
そして気づいたのだ。
どうやったら、人に優しくなれるのか。
キーワードは、『共感力』と『想像力』。
多くの苦労を重ねた人は、他の人の想いに『共感する力』を有し、
そして、他の人が何を考えているのかと、相手の気持ちを
『想像する(おもんぱかる)力』がある。
苦労は、人を深くする。深くなった人は——他者に、優しくなれる。